サロモンストア吉祥寺が10月2日オープン|XT-6から知る、フランスのアウトドア文化


2026年10月2日(金)、吉祥寺に「サロモンストア 吉祥寺店」がオープンする。
最近は東京の街でも、SALOMON(サロモン)のシューズをよく見かける。
でも、このブランドがフランス生まれだということは、どれくらい知られているだろう。
SALOMONが誕生したのは1947年。
パリではない。
フランス・アルプスの麓、アヌシーという街だった。
最初に作っていたのは、木工用ののこぎりの刃。やがてスキーのエッジ(板の縁の金属)へと広がり、スキー用品のブランドとして知られていく。
ここから見えてくるのは、料理やワイン、美術やファッションとは少し違う、もうひとつのフランスだ。

フランス人は「キャンプ」を二つの言葉で考える
フランスのアウトドアについて調べていると、面白い二つの言葉に出会う。
camping(カンピング)と bivouac(ビヴアック)である。
日本語なら、どちらも「キャンプ」や「野営」と訳せそうだ。
けれど、少し性格が違う。
camping は、一か所にテントを張り、そこで何日か休暇を過ごすことができる。
一方の bivouac は、山歩きなどの途中で簡素に一夜を過ごし、翌朝にはまた移動するような野営を指す。
興味深いことに、どちらももともとはフランスで生まれた言葉ではない。
camping は英語からフランス語に入った言葉。
bivouac はもっと古く、17世紀ごろ、スイスドイツ語の言葉からフランス語に入ったとされている。もとの言葉(Beiwacht)は「追加の夜間警備」といった意味。それが、軍隊が夜通し屋外で警戒することを指すようになった。
そこから「軍隊が一時的に野外で夜を過ごすこと」を意味するようになり、やがて登山の世界でも、山中で簡素に一夜を越すことを bivouac と呼ぶようになった。
つまり bivouac は、もともと「そこに暮らす」ためのものではない。
夜を越え、また先へ進むためのものだった。

フランスの camping を変えた「ヴァカンス」
一方、フランスの camping には、社会の変化と結びついた歴史がある。
1936年、人民戦線政府のもとで、有給休暇――congés payés(コンジェ・ペイエ)――が法律によって広く保障された。
それまで一部の職場などに限られていた有給休暇が、この法律で、多くの労働者に年2週間認められるようになったのである。
これはフランス人の余暇の過ごし方を大きく変えていく。
とはいえ、休みができたからといって、誰もがホテルに長期滞在できるわけではない。
新しく休暇を手にした人々の過ごし方はさまざまだった。海辺へ出かける人もいれば、家でのんびり過ごす人もいた。そうしたなかで、比較的少ない費用で自然の中に滞在できる camping も、休暇の楽しみ方の一つとして、時間をかけて広がっていく。
フランス語の vacances(ヴァカンス)が、単なる「休日」以上の響きを持つようになっていく時代でもある。
こうして考えると、フランスのアウトドアには対照的な二つの方向が見えてくる。
camping は「そこにいる」。
bivouac は「そこから先へ行く」。

SALOMONは、どちらのフランスなのだろう
では、SALOMONはどちらなのだろう。
商品のラインナップを見ると、大型テントやキャンプテーブル、焚き火台などが主役のブランドではない。
シューズ、ウェア、バックパック、そしてブランドを大きくしたスキー用品。
つまり、「外に居間をつくる」ための道具というより、自然の中で身体を動かすための道具が中心だ。
フランス語には sports de montagne(スポール・ド・モンターニュ)という表現がある。
山を滑る。
歩く。
走る。
SALOMONは camping というより、こちらのフランスから生まれたブランドと考えると分かりやすい。
同じフランス・アルプスにルーツを持つアウトドアブランドでも、Millet(ミレー)には、より古典的な alpinisme(アルピニスム/登山)の雰囲気がある。
一方、スキー用品から世界を広げたSALOMONは、その後トレイルランニングなどにも活躍の場を広げてきた。
山の中を「移動すること」そのものを楽しむブランド、と言ってもいいのかもしれない。

XT-6が山から街へやってきた
そして、いま東京の街でよく見かける XT-6。
もともとは長距離のトレイルランニングを想定して生まれたシューズだった。
山を長時間移動するための靴が、いまではパリや東京の街でも履かれている。
そして10月、そのXT-6が並ぶSALOMONの店が吉祥寺にできる。
山から街へ。
アヌシーから吉祥寺へ。
そう考えると、一足のスニーカーにも意外に長い旅がある。

一足の靴から、フランスへ
フランス語でハイキングは randonnée(ランドネ)という。
吉祥寺でXT-6を試着するとき、もちろんそんなことまで考える必要はない。
格好よければ、それでいい。
履きやすければ、それでもいい。
でも、その靴の向こうにはアヌシーがあり、アルプスがある。
山を歩く randonnée があり、一晩だけ山で過ごす bivouac がある。
そして休暇を楽しむ vacances がある。
フランスは、パリだけではない。
美術館やカフェだけでもない。
山を歩き、走り、滑るフランスもある。
吉祥寺に新しくできる一軒の店から、そんなフランスを知るのも、なかなか面白い。
いつかフランス語を勉強してみたくなったら、
randonnée、bivouac、vacances。
まずは、この三つの言葉を思い出してほしい。

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サロモンストア 吉祥寺店
オープン予定:2026年10月2日(金) 営業時間:11:00〜20:00 所在地:東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目16番15号 HANA三TSUGIビル1階
※店舗情報は公開時点の情報です。最新情報はSALOMON公式サイト等でご確認ください。


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